臨床心理士 阿部真里子の気まぐれ道草NAVI

所長阿部が折りにふれて感じたこと、考えたことをちょっとした言葉にしてみようと思いつきました。 人生でNAVIが必要だな・・・どうやって生きて行ったらいいの?って思うこともありますが、あんまりがむしゃらに突っ走るばかりでなく、時々ほっと一息ついたり、遠回りになるけれど道草も大事ですよね。道草の途中で、意義深いものや自然に出会ったり、人に出会ったりして、人生が大きく変わることもあるのかも。"カウンセリング"も道草の一つかもしれません。目的地にとらわれない道草的NAVIって面白くありませんか?

第62回2008.3.5. 「出会いと別れ」

オフィスから、たくさんの人が今年も巣立っていきます。

去年入られた、実習生の3人の方が3人とも修士論文を提出して、大学院修士課程を修了し、就職が決まり、阿部もとても嬉しく思っています(就職率100%です)。それぞれ、違う職種で、一人は法務技官(少年鑑別所で働く人です)、一人は教育相談所(不登校などの小中学生やご両親の相談などにあたります)、一人は児童養護福祉施設(子どもさんを預かり、生活の面倒を見る施設です)です。近い職場の方は、引き続きオフィスに来られますが、遠い方はお別れですね。
 
最初に来られた時は実習生のみなさんは緊張気味で、かなり硬い感じですが、キャンプやオフィスでの様々なイベント(お花見会・納涼会・クリスマス会・新年会)や毎月のスタッフ打合せ・研究会などに参加するうちに、スタッフの中に打ち解けて、事務作業や電話受付などの仕事も覚え、スタッフの一員として、力を発揮し始めます。そのうち、冗談や笑いなども飛び交い、美味しいものを一緒に作ったり、食べたり、時にはお酒を酌み交わして、いろいろな話をして、過ごしていくうちに、家族同様な、兄弟同様の感じになっていきます。時には、オフィス内のいろいろ困った事態にも遭遇することもありますが、工夫して乗り越えて、一緒に成長していきます。

かつて、お世話になった、神田橋條治先生が「一度出会った関係に終わりはない」という言葉を伝えてくださって、折にふれては、今でもそれを思い出すことがあります。 今後、たとえ、実際に顔を会わせる機会がなかったとしても、その人にとって重要な人間関係は忘れられることはないし、その人の中で、ずっと生き続けていくものだと思います。何か困ったことがあると、ふと、その人の声で言葉が脳裏に聞こえてきたりということがよくあります。それに助けられて、危機を脱することもしばしばあるので、「言葉」はとても大事なものだなと思います。しかし、もっと大事なのは、「言葉」に載せて贈る、その人の「想い」(「思い」)なのでしょう。想いのこもっていない言葉はどこか、虚しく、薄っぺらだと思います。オフィスで修行した人たちには、体験に裏打ちされた、価値のある一言を人々に贈れるようなカウンセラーになっていただきたいと、望んでいます。