臨床心理士 阿部真里子の気まぐれ道草NAVI

所長阿部が折りにふれて感じたこと、考えたことをちょっとした言葉にしてみようと思いつきました。 人生でNAVIが必要だな・・・どうやって生きて行ったらいいの?って思うこともありますが、あんまりがむしゃらに突っ走るばかりでなく、時々ほっと一息ついたり、遠回りになるけれど道草も大事ですよね。道草の途中で、意義深いものや自然に出会ったり、人に出会ったりして、人生が大きく変わることもあるのかも。"カウンセリング"も道草の一つかもしれません。目的地にとらわれない道草的NAVIって面白くありませんか?

第19回(2005.10.9)

先日、「チャーリーとチョコレート工場」という映画を見に行きました。すごく楽しく、おもしろい映画だったので、みなさんに紹介しますね。でも、見てない方のために、内容には、できるだけ触れないようにします。

 「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジョニー・デップ主演で、いつもと全く違ういでたちや演技で、同じ人なのか?!と思いました。

 世界一のチョコレート工場に、5人の子どもと、その家族一人が招待されて、中を見学するという単純な内容なのですが、工場内には、チョコレートの流れる川や、変わった上下左右自在に移動するエレベーター、リスが働くクルミ割り部門などあって、リスの場面は100匹ものリスをティム・バートン監督が調教して、出演させているというので、阿部はここがかわいくて一番気に入りました。ともかく、随所にいろいろ憎い演出があって、とても楽しめます。また、ワンカ氏の過去が明らかになると、親との葛藤とか、トラウマとか心理的なものも考えさせられました。奥が深いです。みなさん、是非是非、見てください!見たら、感想聞かせてね!

 今回は、この映画について、ある女性とメールで語り合ったのを、本人の許可を得て、掲載しますね。


<メールやりとり>

阿部:本屋でチャーリーとチョコレート工場の秘密、結構原作に割に忠実だとわかったよ。

ウンパルンパ嬢:原作があったんですね。知らなかったです。

阿部:洋書しかネットに載ってなかったけど、本屋に行ったら、新訳が。作者は戦闘機のパイロットで、撃墜されて長い間、生死のさかいをさまよったらしい。それをネタに作家に。みんなたいへんなんだね。

ウンパルンパ嬢:へぇ、戦闘機のパイロットですか!おもしろいですね~。あの奇妙なチョコレート工場は生死をさまよってる時に見た夢に出てきたのでしょうか??(笑)

阿部:戦争でひどい目にあって、人の幸せが何かよくわかったんだね。あたたかいよね。

ウンパルンパ嬢:ああ、職業で戦闘機のパイロットをしてたわけではないんですね。なるほど~。原作も読んでみたくなりました。映画もやっぱりもう一度観たいですね。

阿部:職業だと思うよ。怪我して人生観変わったんじゃないかな?

ウンパルンパ嬢:>そうですか。うーん。人を殺す職業を選んでおいて、自分が怪我したら人生観が変わったというのもなんだか悲しいかも。殺された人たちのことを考えちゃいます。本は償いも兼ねてるのかなぁ。

阿部:もしかしたら歯医者の父親は国家権力で、そこからの離脱の諷刺?

ウンパルンパ嬢:わぁ、それってすごい解釈かも。そうともとれるかもしれませんね。そうなるとスケールも大きい深い映画ですね。ネットに載ってた評で「子ども嫌いの人が楽しむ映画」なんてのがあって「は?」と思いましたけど、そんな評くそ食らえですね。

阿部:親から自由になるのも、国家から自由になるのも難しい。税金いっぱい収めないといけないのと、この間の怖い夢(注)で思いました。

ウンパルンパ嬢:確かにそうですよね。離れて暮らしたって親からもなかなか自由にならないし、国家からの離脱なんて考えたこともなかったです。

阿部:そうそう。やっぱりどんなに国家や親から自由になっても、最後は家族とのつながり、きずなが重要なんだね!人間て、成功したとしても、孤独なのかなあ?一人で生きるのはきびしいのかな?ウォンカさんみたいに。私はちなみにウンパルンパがいればいいな。欲しいよ。秘書、従業員、宴会係なんでもこなす。

ウンパルンパ嬢:そうでした、それが映画でも描かれていたんですもんね。ウンパルンパは雇うには便利な存在ですけど、カカオで繋がっているだけの関係ですからねぇ。カカオがなくなればいなくなっちゃいますよね。何もなくても繋がっていられるのが家族なのかなぁ。チャーリーの家みたいに。私は成功しなくていいから一生独りにはなりたくないです。

阿部:深い!でも最初はカカオに釣られてたけど、楽しそうだったよ。カカオだけじゃないかもよ。

ウンパルンパ嬢:そうですね、最初は物で繋がっててもそのうち…ってことはありますよね。でもウンパルンパ無表情でしたね(笑)

(注)阿部はこの映画を見る日の朝、明け方、夢でひどくうなされて、家の者に大丈夫?と起こされてしまいました。その夢は、自分の母親に口答えを一生懸命しているのに、なかなかのどが詰まって、言葉が出てこない。苦しくてたいへんという夢で、自分の息子も20歳になろうとしているのに、まだこんな夢見るの?!と、複雑な思いでした。根強い、グレートマザーの威力・・・