臨床心理士 阿部真里子の気まぐれ道草NAVI

所長阿部が折りにふれて感じたこと、考えたことをちょっとした言葉にしてみようと思いつきました。 人生でNAVIが必要だな・・・どうやって生きて行ったらいいの?って思うこともありますが、あんまりがむしゃらに突っ走るばかりでなく、時々ほっと一息ついたり、遠回りになるけれど道草も大事ですよね。道草の途中で、意義深いものや自然に出会ったり、人に出会ったりして、人生が大きく変わることもあるのかも。"カウンセリング"も道草の一つかもしれません。目的地にとらわれない道草的NAVIって面白くありませんか?

第67回(2008.7.7)「七夕の夜に寄せて」

 みなさん、ご無沙汰しました。なかなか、気まぐれナビを更新することができませんでした。申し訳ありませんでした。こんなことも、あろうかと見越して(?)、「気まぐれ」という名前をつけておいて正解でした!!

 この1ヶ月ほど、オフィスにゆかりの深い方が逝去され、その死を悼む気持ちでいっぱいだったり、風邪が長引いて体調を崩したり、仕事が猛烈に忙しく何も考える暇も無く、ただ毎日こなしていたり、今流行の「バナナダイエット」に挑戦したけれども、身体に合わないのか、かえって気持ち悪くて、もっと体調悪くなってやめたり(主人は3週間、現在も続けています)と、全身の疲労倦怠感が著しくて、しばらく、仕事以外の余計な「何か」をする気力が出ませんでした。主人にそれを言うと、「人生にも無駄な何か、のりしろや余白が必要なんだよ」と言われました。「なるほどな~」と思いました。ブラブラして、ボーとしている時間が、本当に必要なんですね。張り詰めて、燃え尽きてしまわないように。

やはり、気持ちにゆとりがある時は、書きたい事が次々と頭の中に湧き出てきて、それがなかなか一つの紙面にまとめられないようなことすらあります。今回の場合は、書きたい事が全く浮かばないという異常事態でした。私の場合、「文章を書きたいかどうか」が健康のバロメーターかもしれません。

小さい頃から、三度の飯より文章を書くのが好きで、なんか書いていると楽しいというか、そういう私が、食欲が出ないように、文章を書く気力が失われてしまいましたので、かなり珍しいことです。これは休養したり、遊んだり、気分転換をはからないと、さすがに「やばいかも」と思いました。

小学校時代も、小説を書いて、表紙も、青い色のついた厚紙や折り紙などで工夫して作り赤いリボンで綴じて、遠足のバスの中でみんなに読んでもらったり、高校時代は親友に、やはり、小さなノートに小説を書いて学校で読んでもらったり。作文が文集に載ることもしばしばあって、「書くのが好きなんだ!」という子どもでした。小説家になりたいなんて夢もありました(まだ捨てていません)。

 次に好きなのが、演劇で、中学時代は闘病していたので除いて、小学校、高校とも、舞台に立つのが好きでした。緊張はするのですが、舞台に立ってライトを浴びると、演技に集中してすっかり、その役になりきるというか。髭をつけてアラブの大富豪とか、男性の役になったりなんてのも好きでした。

今はタップダンスの発表会でしか、舞台を踏む機会がなくなりましたので、セリフはなしですが、やはり、舞台は好きです。タップダンスの師匠の増田かおり先生に、入門した時、まだ何にもできないうちから、「舞台に出ます!!」といち早く言い、驚いてしまわれました。大阪に住んでいたヨチヨチ歩きの3歳頃?父が貿易関係の仕事だったので外国人のお客さんの接待のためにホテルへよく行きましたが、母が目を離した隙に、ロビーに人だかりが出来ていて、外国人の方々が歓声をあげているので、母が見に行ったら、小さな私が白いワンピースで人だかりの真ん中で踊りを自己流に踊っていたなどという思い出話を母からされたことがあります。その頃から、踊るのが好きだったのかもしれません。

「三つ子の魂百まで」という諺がありますが、やはり昔自分がやりたいと思っていた事が、今になって実現しているようにも思います。乗馬についても、小さい頃、しょちゅう、動物園などで引き馬に乗っていたし・・・

そんなわけで、気分転換で映画「西の魔女は死んだ」(お勧め!☆☆☆☆☆)という映画を見に行きました。不登校の女の子の物語だというので、ちょっと専門家的な関心もありましたが、女の子の母親の母親(祖母)-魔女-の役を女優シャーリーマックレーン(マチュピチュ遺跡への10日間の旅日記第一話で紹介)の娘のサチ・パーカー(親日家の両親に育てられ日本で12歳まで育った)が演じているというのも興味が持てました(母親似の美しく優しい瞳の女性でした)。自然豊かな森の中に住んでいる祖母のところに、「まいちゃん」という不登校の中学1年の女の子が預けられ、魔女修行(実は早寝・早起きの規則正しい生活と、農作業や、ジャムを作るのを手伝ったり)を行いつつ生活します。そしてゆったりした楽しい時間が過ぎて行きます。しかし、ちょっとした出来事で、祖母と仲たがいして、挨拶もそこそこに、その家を離れてしまいます。次は祖母が死んだという知らせが来て、急いで母親と一緒に、祖母の家に向かい、嫌な別れ方をしてしまったことを後悔しますが、祖母の家で、亡くなった祖母からのメッセージを見つけるというストーリーです。

孫娘に魔女の祖母が「死」について尋ねられ、「死んだら魂が肉体から離れて、魂は解放されて、肉体の痛みもなくなり、楽になる」と話すシーンが印象的でした。

気持ちのいい八ヶ岳の自然、森や草原、草花が、本当にリアルにそこにあるように写されていて、見ているだけで、とてもリラックスできました。ものすごく楽しめました。

ここに出てくる、「魔女修行」は、オフィスの自然体験活動の夏合宿(通称キャンプ)で目指している「現実性獲得訓練」に似ているよなと思いました。あらゆる生活の中の現実体験が不足したために、弱くなってしまった心を美しい自然の中で少しずつ丈夫にしていくために、「現実体験」(現実に取り組む機会)を増やして、自分なりに取り組んでいく訓練。今年の夏も長瀞のキャンプで、みんなで良い体験ができるといいと思います。ラフティング(ゴムボートでの激流下り)にも初めて挑戦(これも長年の私の夢が叶いました!)。

以前、催眠のイメージで激流下りを体験したことも。