<日本催眠医学心理学会>
11月3日~5日まで鹿児島大学で行われた日本催眠医学心理学会第63回大会に参加しました。去年、春日部市で62回大会を行ったことが、1年前なのにまるで夢のようにぼやけて、遠い昔の出来事だったような気がしています。
鹿児島大学の椰子の樹が並んでいる広いキャンパスの情景はなかなか都内などではお目にかかれない広大な風景でした。学会では来日したジェンセン博士の講演を聞きました。「催眠と認知行動療法を組み合わせて使うと、より効果が高い」との実証的な研究結果について話されていました。催眠は知的な認知を変えるだけでなく、感情にも働きかけていくので、より有効なのだと思います。また、ほかは、慢性疼痛への催眠の効果について脳の画像分析などでエビデンスを求める研究が発表されていて、とても興味深かったです。鹿児島はこれで、3-4回学会の折に訪れているので、今回はまだ一度も行ったことのない長崎のハウステンボスに友人のOさんと一緒に行ってみようと思い、旅行会社の方に相談して旅程を組みました。
鹿児島の学会が終わり、夕方17時24分の電車で長崎に向かいましたが、初めて乗った九州新幹線の旅はトンネルが多く、トンネルが途切れると、夕暮れの山の景色でした。長崎ハウステンボスまでかなり遠い道のりです。途中で在来線に2回乗り換えてハウステンボス駅に降り立ちました。そして、すっかり暗くなったハウステンボスまでの道を3-4分ほど歩いて、ハウステンボス前にあるホテルオークラまで歩いて行きました。古めかしい、外国風の建物の外観にワクワクしました。
翌日は朝からハウステンボス散策。まずは2人乗り自転車で少し街をまわりましたが、坂などもあり、2人とも自転車に慣れてないので、ちょっとたいへんでした。次は予約しておいた馬での街のトレッキング。乗馬をしている人は
一人で手綱を持って乗っていいとのこと。「乗馬していて良かったなー」と本当に思いました。Oさんはスタッフの人の曳き馬で一緒に街を歩けました。最高に楽しかったです。みんな歩いている人が羨ましそうに見ていました。その後、馬車にも乗って、馬づくしで満喫しました。
自転車と、馬と、馬車に乗った後で、次はカートタクシーに乗って移動し、運河を見ながら、「デ ・アドミラル」というフレンチの店でランチ。ホテルヨーロッパの1階にあります。外国人のヴァイオリンニストのステキな演奏を聴きながら、ゆったりと食事しました。エビとマッシュルームのカレーをいただきました。カレーのルーが今まで食べたことがないほど、クリーミーで濃厚でした。何時間も野菜を煮込んで作ったルーであると聞きました。このカレーを目当てに来るお客さんもいるとか。
その後、歩いて、パレス 王宮のガーデンを見に行き、絵の展覧会を鑑賞。ピカソや、シャガール、ユトリロその他の絵がありました。そこには素晴らしい庭園があり、ルーブル美術館を作った方の弟子が作った庭園とのことで、噴水を真ん中に左右対称の整った庭園でした。ここはハウステンボスの外れにあるので、すっかり疲れ、一度、出口まで行って、ホテルに戻り、2時間ほど休みました。
再入場(ディズニーの時のように手の甲に押した秘密の消えるスタンプを見せる)で、夕暮れのハウステンボスへ。予約しておいたイタリーレストラン「プッチーニ」の窓からは素晴らしいイルミネーションが見えました。だんだん、日が暮れると、一段と色鮮やかになりました。ディズニーと違い、高齢の方が多いのが目につきます。園内のバス、船、カートタクシー(個人・乗り合い)、1人乗り、2人乗り、4人乗りの自転車など、移動手段が豊富なので、それを使えば、容易に移動できるため、高齢の方でも楽しめるのかなと思いました。薔薇園や美しい建物が外国にいるかのような感覚にさせてくれて、真ん中を通る運河も、また、橋も、石畳の路も異国情緒を漂わせています。本物のレンガをオランダから取り寄せて造られた建物であると聞いていたとおり、ハリボテではなく、しっかりした建物でした。
イルミネーションは建物の上から水が、流れて川になっていく感じにプロジェクション マッピングと組み合わせられとても美しかったです。色とりどりの電飾が地面を覆い、点滅する情景は見ごたえがありました。観覧車に乗って、その景色を上から見たり、ハウステンボスの真ん中にある一番高い建物 (タワー)のドムトールンの階上に登って見おろし、その後、運河に浮かぶ船で出口まで帰りました。いろいろな乗り物に乗って、いろんなものを見た一日でした。ハウステンボスで学会をやったことがあるという話を先日の鹿児島大学の学会で、ある先生から聞きました。JRAの立派な建物の他、たくさんの会議室があるようで、ここで学会があったら、また、是非来たいと思います。
「ハウステンボスから船で長崎空港に行けますよ」と、旅行会社の方が教えてくださったので、翌朝、ホテルでゆっくりと朝食を済ませ、ホテルからマリンハーバーまでタクシーで行きました。お土産物をちょっと見てから船に乗り込みました。船で空港へなどということはなかなか体験のできないことで海の景色を楽しみながら、帰路に就きました。さらばハウステンボス!
<祈りと救いとこころ学会>
11月18日(土)は息子と2人で学会参加しました。去年から参加している「祈りと救いとこころ学会」。宗教と精神医療の接点を探る学会が、たいへん面白かったです。大会長が昔、私が20代のころ勤務していた精神科単科の病院でご一緒させていただいていた、レジリエンスなどの研究で、ご高明な加藤敏先生(自治医科大学名誉教)で、楽しく参加しました。途中、ハープ(竪琴)の演奏などもあり、癒されました。死期を迎えた患者さんに病床で患者さんの呼吸に合わせて演奏されるとのこと。また、台湾では、病院にいろいろな宗教の神を祭った部屋があり、患者さん自身も、その家族もその部屋を自由に利用できると聞きました。日本では宗教色は敬遠されがちですが、宗教の力も大きな「癒し」の意味を持つと思いました。「臨床宗教師」という病床で亡くなりつつある方のお話を聞く資格があることも初めて知りました。その教育訓練機関では仏教やキリスト教など、いろいろな宗教の方が一緒に勉強するとのことでした。
「遷延性悲嘆障害」という、大切な人を失った後、生じる障害についての発表も精神科医の先生からありました。この障害の場合、回復になかなかお薬の効果が表れにくいとか。私のオフィスでも最近ではやはり、大切な家族を亡くされた方、あるいは大切なペットを亡くされた方など不調となられる方も増えている様に感じます。精神医療にとって、グリーフケアは重要な問題であると思いました。
私自身、10月末に永らく親しくさせていただいていた方が亡くなられ、「お別れ会」に参列したばかりなので、この学会に参加して気持ちに整理がつけられたように思います。
そして、この学会の慣例で、懇親会で病院の患者さんによるヨサコイ・ソーラン節のパフォーマンスが披露されました。この学会の母体となっている池袋にある病院はデイケア・ナイトケアに力を入れていることで有名です。あれだけのレベルの踊りを披露するのはたいへんだと思いました。週三回、90分の練習が行われるとのこと、タップダンスを習っていた私の経験から、本当に頭が下がり、拍手を惜しみなく、患者さんたちに送りました。
「生と死」などいろいろ考えさせられる学会でした。