臨床心理士 阿部真里子の気まぐれ道草NAVI

所長阿部が折りにふれて感じたこと、考えたことをちょっとした言葉にしてみようと思いつきました。 人生でNAVIが必要だな・・・どうやって生きて行ったらいいの?って思うこともありますが、あんまりがむしゃらに突っ走るばかりでなく、時々ほっと一息ついたり、遠回りになるけれど道草も大事ですよね。道草の途中で、意義深いものや自然に出会ったり、人に出会ったりして、人生が大きく変わることもあるのかも。"カウンセリング"も道草の一つかもしれません。目的地にとらわれない道草的NAVIって面白くありませんか?

第208回(2022.9.7.)「夕暮れ時はずいぶん涼しい風が吹き、秋の訪れはそこまで来ているようですね!」

 夏休みが終わり、2学期が始まり、みなさん慌ただしい毎日を過ごされているものと思います。このようなとき、ゆっくり、リハビリ期間を経て、もとの生活に戻るのが心身ともに重要ですね。

 

 先日、「異動辞令は音楽隊!」という阿部寛主演の映画を見に行きました。阿部寛扮する、30年のキャリアを持つ鬼刑事が部下へのパワハラや、犯罪捜査のルールなどを型破りに破り、上司への態度も悪く、異動を命じられますが、その異動先が警察音楽隊だったということで、「こんな場所は自分のいるところではない。早く元の刑事に戻りたい」と嘆き、全く練習にも身入らない毎日が続きます。楽器のパートは、子ども時代にお祭りで和太鼓を叩いた経歴から、パーカッションになります。最初は演奏がうまくいかず、パーカッションをひっかけて倒してしまう始末ですが、そのうち、この警察音楽隊を応援し、毎回楽しみに見に来てくれる高齢の女性がいることを知り、その女性から声をかけてもらい励まされます。また、あるときは、高校生の娘と仲たがいしていたのですが、練習に訪れたスタジオでバッタリ、鉢合わせし、そのバンドメンバーと楽しくセッションをして、パーカッションの演奏が楽しくなり、やる気が出てきます。最後にはパワハラで訴えた後輩をも笑顔で許し、コンサート会場での演奏に向かいます。



皆さんも、人生で、自分の意志とは関係なく、理不尽なことに遭遇することもあるかもしれませんが、それは運命の皆さんへの問いかけみたいなもので、この現実をどうとらえて、最善を尽くしていくか(レジリエンスともいいます)が求められているのかもしれません。環境は選べませんが、その事態にどう取り組むか、自分の態度は選べるのではないでしょうか。

ドイツの強制収容所に収監された経験を持ち、家族もそこで失った精神科医のV,フランクルも「態度価値」ということを言っており、選べない運命であっても、自分の態度は選ぶことはできると言っています。しかし、現実に立ち向かっても、1人ではうまくいかないこともあるはず。そんなとき、カウンセリングを利用されてみるのはいかがでしょうか?カウンセリングに来られた人の持つ潜在的な能力を引き出し、自分自身で問題解決に至るようお手伝いさせていただくのが我々の使命であると思っています。

 

ちょっと難しい話になりましたが、先日は、クライエントさん(利用者さん)と沖縄料理の話になり、島ラッキョの味がエシャロットに似ていて美味しいと。私も島ラッキョ、エシャロットどちらも大好きなので、とても話が盛り上がり、ワクワクし、2人とも笑顔になりました。こんなふうに、「カウンセリング」と言っても、一見、「雑談」のようなものの中から、大切なことが見つかったりもするので、どのようなお話でも大事に聞くようにしています。私の師匠の一人、「精神療法の神様」と言われる神田橋條治先生も「雑談療法」を最近では提唱されているとか。映画のお話、本のお話、漫画やテレビ、音楽の話など、いろんなことを自由にお話しください。その中から「宝石」のような大事なものが見つかりますよ!

 

らっきょうのイラスト