臨床心理士 阿部真里子の気まぐれ道草NAVI

所長阿部が折りにふれて感じたこと、考えたことをちょっとした言葉にしてみようと思いつきました。 人生でNAVIが必要だな・・・どうやって生きて行ったらいいの?って思うこともありますが、あんまりがむしゃらに突っ走るばかりでなく、時々ほっと一息ついたり、遠回りになるけれど道草も大事ですよね。道草の途中で、意義深いものや自然に出会ったり、人に出会ったりして、人生が大きく変わることもあるのかも。"カウンセリング"も道草の一つかもしれません。目的地にとらわれない道草的NAVIって面白くありませんか?

第34回(2006.5.21)<電車事故に遭遇>

土曜日に春日部から、大宮のクリニックに行くのに東武野田線を毎週利用しています。いつも田園風景を楽しんで、ゆったりした時間を電車の中で過ごせるのですが、その朝は違いました。岩槻を出てしばらくしたら、田んぼや畑の広がる真ん中で駅ではないのに、「急停車します!」とのアナウンスと共に、電車が急停車。阿部は最後尾の車両に乗っていたからか、普通の停車と同じようで、それほど、衝撃は受けませんでした。

「なんでこんなところで止まったのかな?」

と思っていると、車掌さんが慌ただしく電話で連絡を取っているのが見えました。窓の外を見たり、左へ右へ忙しく動いています。相当慌てている様子。しばらくして、自動車が電車と接触した事故だと伝えられ、ジャッキで1両目を持ち上げるので、一両目の乗客は後ろに移動して欲しいとのこと。また、電車の電源が切られ、車内は暗くなりました。非常灯だけついています。そこへ前の車両の人も移ってきて、車両に人がいっぱいになりました。

 電車が蒸し暑くなるので、窓を開けるようにアナウンスされていたので、窓は開けられていましたが、30度になるという予報どうりかなり蒸してきていました。 その後は、車掌室の狭い扉から、線路へ乗客を降ろすということになり、順番で一人ずつ、降りていきましたが、車体から地面まで相当な高さで危ないため、座席を乗務員や男性の乗客が外して、そこに台として置いて、係の人の誘導で、後ろ向きになって、手すりに掴まって車体の下に付いている2段のステップを踏んだ後、座席の台の上に足を降ろしました。テレビでは、乗客が途中で電車から降りて歩いている姿を目にしたことがありますが、まさか自分がこんなことになるとは思いもよりませんでした。

 こんな少しのことでも動揺してしまい、もし、もっと大きな事故なら、落ち着いて行動は難しいと思いました。職場にも遅れると電話連絡し、そこから、七里駅まで20分歩いて、タクシー乗り場でタクシーを待ったものの、タクシーもなかなか来ず、やっと1時間過ぎて来たタクシーに知らない人同士3人で大宮まで乗っていきました。一人の人は七里駅から大宮に向かおうとしていた年輩女性で事故のことはよく知らず、もう一人の若い女性は1両目で何が起こっていたかを見てしまった方でした。涙を浮かべて事故の様子を語られるのを見て、その時になり、やっとたいへんなことが起こっていたことがわかりました。自動車が電車に巻き込まれ、運転されていた方が犠牲になられたとのこと。そして、車中でもパニック発作を起こされた方も出ていて、悲鳴や対応への不満で、怒号も飛びかっていたとのこと。帰ってからも、いろいろ考えてしまい、自分の身に起こってみると、どんなことでもたいへんだと感じました。

犠牲になられた方のご冥福をお祈りします。