臨床心理士 阿部真里子の気まぐれ道草NAVI

所長阿部が折りにふれて感じたこと、考えたことをちょっとした言葉にしてみようと思いつきました。 人生でNAVIが必要だな・・・どうやって生きて行ったらいいの?って思うこともありますが、あんまりがむしゃらに突っ走るばかりでなく、時々ほっと一息ついたり、遠回りになるけれど道草も大事ですよね。道草の途中で、意義深いものや自然に出会ったり、人に出会ったりして、人生が大きく変わることもあるのかも。"カウンセリング"も道草の一つかもしれません。目的地にとらわれない道草的NAVIって面白くありませんか?

第93回(2010.10.14) 「鹿児島~霧島~屋久島に行ってきました!」

催眠の学会が、鹿児島大学であり、15-6年ぶりに、あの「懐かしい~」鹿児島へ行ってきました!!前回は最初の頃のオフィスのスタッフ2人(1人は今もいるHカウンセラー)と一緒に行きましたが、今回はオフィスからは私1人でした。
ところが、駅前が全く変わってしまっていて、「時の流れの速さ」を感じました。学会前日の昼頃に、鹿児島空港から空港バスで鹿児島中央駅まで行ってバスを降りた時に、すぐに駅前の様子に違和感を感じ、「前に来たのはこの駅だったかしら~?」と戸惑いました。
最初、なんとなく見覚えのある駅前の何体かの銅像の集合体が目に入りました。昔、そこで、確か若いオフィスのスタッフ二人と待ち合わせをし、長い間、そこに立っていたので、よく覚えていたのですね。ところが、そこの銅像に付随して、大きな噴水があったはずなのに、今はその噴水が陰も形もなくなり、銅像だけ取り残されていました。また、銅像が目立たなくなるほどの、駅前の近代的で綺麗なショッピングセンターがドーンとあり、また、そのビルの上にとても大きな観覧車があるのが見えましたので、「なんじゃこりゃ~!」と、すごく驚きました。 

駅に降りたところで、運悪く、ショルダーバッグの紐の留め金が壊れてしまい使えなくなり、ホテルに荷物を置いて、待ち合わせした同じ学会の友人のOさんと会う前に、ショッピングセンター(中には映画館もあり、おしゃれな洋服・アクセサリーのお店がいっぱい!地下には鹿児島土産や薬局も。まるで、東京にいるように錯覚してしまいます。)にとりあえず使えそうなバッグを見に行きました。そこの若い男性の店員さんがいろいろ親切に最近の鹿児島のことを教えてくれました。どこから来たのかと聞かれたので、「春日部」というと、最近はみんな「クレヨンしんちゃん」で有名なので知っているし、作者が崖からの滑落で無念の死を遂げた事も話題になりました。その方も新越谷までは仕事で来たことがあるとのことで、東京に住んでおられた話などを聞きました。

見知らぬ場所で知り合いがいなくて困ったら、駅の観光案内所みたいなところで聞くのももちろん、いいけれど、買い物をした店の人や、タクシーの運転手さんなどに聞くといろいろ教えてもらえるので、お勧めですね。私も学会などで、あちこち各地を旅行して、「少しは知恵がついたよな~」と思いました。何も知らなかった昔より、だいぶ動けるようになりました。何事も経験は大事ですよね。

前回は日本心理臨床学会のあった福岡から鹿児島まで夜更けてから、車窓から見える美しい満月と伴走しながら、特急電車(確かつばめ?とかいう名前だったような)で鹿児島に3-4時間くらいかけて?行った記憶があります。そして、磯庭園や西郷さんの隠れていた洞穴とか、鹿児島市内観光や桜島の温泉旅館に行きました。
今回は飛行機で鹿児島に直接行き、安いビジネスホテルに学会の最中は泊まり、夕食はネットで探したところや、上述したように、地元の人に聞いた美味しい店に食べに行きました。ネットで探したのは、黒豚のしゃぶしゃぶを食べさせる天文館「しゃぶ禅」というところでした。東京方面ではしゃぶしゃぶは、胡麻ダレか、ポン酢の効いたツユ(野菜類は主にこれにつけますね)で食べますが、その二つの他に、もう一つ薄味のだし汁が出てきて、試しにその中に浸して、ゆず胡椒で食べたら、とてもさっぱりしていて美味しかったです。初めての味覚を堪能しました。地元の焼酎も美味しかったです。

学会ではアメリカから来られた講師の先生(マイケル・ヤプコ先生)に、催眠の研修も受けて、また、普段の自分の臨床で使えそうな、技法のヒントを得ることができました。鹿児島大学内の稲盛会館という、りっぱな地球をイメージしたような斬新なデザインのコンクリート打ちっぱなしの講堂が強く印象に残りました。学会懇親会では15年前から30年ほど前(大学院生時代~)にお世話になった、鹿児島のK先生(学会員ではいらっしゃらないけれども、学会懇親会に参加されていた)と15-6年ぶりに再会できて感激したりしました。鹿児島空港から市内に行くバスの中で風景を見ながら、K先生のことを懐かしく思い出して、「今回は、まさかお会いすることはないだろう」と思っていたので、思いがけない再会に驚かされました。以前の「ひどく病弱だった私」をご存知なので、「現在の私」をご覧になり、「元気になったねー!」とびっくりされていました。昔の私を知っている人から見たら、私は見違えるほど元気になっていると思います。

霧島へ行く電車内から見た桜島


 

学会後に、霧島まで行き、霧島の温泉に行きました。途中、電車内から海に浮かぶ桜島が見えました。鹿児島から特急電車(電車の床が白黒の格子模様で、シートも紺に赤黄緑の小さな点の模様でどことなくおしゃれ)で約1時間ほどで霧島神宮駅に到着し、そこからバスで25分の険しい山道を登り、丸尾というところでバス停を降り、モクモクと白い硫黄の強烈な臭いのする煙があちこちにたなびく、上り坂を歩いて登って行くと、「霧島国際ホテル」という古いホテルがありました。

ここは露天風呂が素晴らしいということと、頼めば追加料金で「部屋だし」で、夕食が食べられるということで選びました。近くのいくつかの温泉を無料で廻れる「湯めぐりパスポート」というのが特典でついてきましたが、泊まっている温泉だけでも、いくつも広い露天風呂(硫黄の臭いの、青っぽい白濁したお湯)があって、それがとても素晴らしいので、他へ行くのは止めてゆっくりすることにしました。顔に塗る泥パックをする場所もあて、スベスベになりました。


屋久島は長年、行きたいけれど、とても遠そうで行けない場所でした。今回、鹿児島で学会があると知って、鹿児島からは近い(飛行機で30分、高速船で2時間)から行けるかもしれないと思っていましたら、学会の友人Oさんに誘われて、サンカラホテル アンド スパ(http://www.sankarahotel-spa.com/)というところに泊まりました。両側に2列ずつしかない胴体の細くて、小さなプロペラ機に乗り込んで、あっという間に着いてしまいました。
屋久島は5角形に近い円い形をしていて、2時の方角に屋久島空港があり、そのホテルは5時の方角、車で40分ほど行ったところにあり、ホテル前面は広大な海、さえぎるものがなくホテルのある土地まわりを取り囲まれているのがわかります。ホテルの背景には山が連なって見える「借景」の素晴らしい景色で、建物は全体に落ち着いた茶色で、石のブロックを積み重ねた壁がアクセントに帯状に配置されており、きれいな水の張られたプールも夜は照明の光に照らされ幻想的でとても素敵でした。バリ島から運んだ家具調度が全部で12棟1階と2階で24室あるビラの部屋の中に置いてあり、部屋もさながらバリ島にいるような雰囲気を味わえました。バトラーと呼ばれる、お客を世話をする客室係が、ゴルフ場にあるようなカーとで食堂やアロママッサージのサロンのある、本館に送迎してくれたり、留守の間の部屋を片づけ、アロマオイルを炊いて、落ちついた音楽のCDをかけといてくれたりしました。

右写真 千尋(せんぴろ)の滝


 

また、ナビのついた真新しいプリウスにホテル名が書かれており、1時間800円で借りられたので、4時間ほど借りて、近くの「千尋(センピロ)の滝」や山の上にある「屋久杉ランド」というところを80分コースで歩いて、屋久杉の森を堪能しました。有名な縄文杉までは往復8‐10時間ということで、登山靴などの重装備でかなりの健脚でないと無理そうでしたが、この屋久杉ランドは石畳の歩きやすい人工的な道で、川の上にかかった高いつり橋などもあったりしますが、軽いハイキングの感じで、軽装でも大丈夫でした。

 
 

また、翌朝は6時半に起きて、ホテルの従業員の案内で、他の2人の泊り客と一緒に裏山の所要時間1時間ほどの散歩コースを登りました。石に緑のコケが生えていて、背の高い幅広の樹木も多く、全体に景色が緑っぽく、まるで「もののけ姫」の世界でした。人間の背丈の何十倍もの巨石が森の中にあって、このようなのが、水木しげるの漫画に出てくる「ぬり壁」という妖怪なのではないかと思いました。もう終わってしまった、テレビの朝の連ドラ「ゲゲゲの女房」の時に、水木しげるが南方の島の戦場のジャングルで突然現れた大きな壁にはばまれて、動きが取れなくなったことを話していましたが、まさに、その岩の前に立つと、前方が見えず、前に進めなくなってしまうかもしれません。疲弊した精神状態にあれば、そのそそりたつ巨石の壁が、妖怪のように見えてもおかしくないでしょう。 帰りは、早い便に乗るために、先にホテルを後にした、Oさんの時は雨が激しく降り、飛行機が一時、離陸できない状態もありましたが、私が出る頃は小降りになり、鹿児島空港を経て羽田への帰途につきました。「ペルー旅行」以来の長い5泊6日の旅行でしたが、本当に良い旅でした。)

これは何でしょう?屋久杉をくりぬいて作った公衆電話です。