臨床心理士 阿部真里子の気まぐれ道草NAVI

所長阿部が折りにふれて感じたこと、考えたことをちょっとした言葉にしてみようと思いつきました。 人生でNAVIが必要だな・・・どうやって生きて行ったらいいの?って思うこともありますが、あんまりがむしゃらに突っ走るばかりでなく、時々ほっと一息ついたり、遠回りになるけれど道草も大事ですよね。道草の途中で、意義深いものや自然に出会ったり、人に出会ったりして、人生が大きく変わることもあるのかも。"カウンセリング"も道草の一つかもしれません。目的地にとらわれない道草的NAVIって面白くありませんか?

第180号(2020.3.3.)「早く、世の中が落ち着くと良いのですが・・・」

新型コロナウイルスの影響で、なんとなく気ぜわしい感じになっています。

スクールカウンセラーで勤務している学校の卒業式に参列しようと、美容院も予約し、どの服を着ていくのも決めていましたが、政府の御触れで、全国の小学校・中学校・高校が3月2日から一斉に休みになり、卒業式も在校生や保護者・来賓の参列はなしとのことになり、私はスクールカウンセラーで一応は「教職員」なので、出ても構わないのかなと思いましたが、一人でも感染のリスクを減らした方が良いだろうと判断し、美容院もキャンセルし、卒業式は欠席することにしました。高校3年生で長く、お会いしていた方もいたのに、残念でしたが、「ここは無理をせずに」と思いました。

 

 あちこちで開催される音楽のイベントや研究会なども中止だったり、延期だったりしていますので、スケジュールが空いて、家にいる時間は長くなったものの、気持ちがワサワサして何も手につかない感じ。

 

 先日、慶応大学医学部の教室で開催された慢性疼痛治療のマインドフルネス、ACT (acceptance commitment therapy ) の研修会で習った簡単な呼吸法を試してみるのも手かなと思いました。研修会ではマインドフルネスの状態とマインドレスネスな状態を比較してわかりやすく説明されていました。すなわち、マインドレスネスは「心ここにあらずな状態」で、過去の後悔やら、未来の心配やら、あちこちに心が乱れ飛び、集中していない状態です。散歩をしていても、今、気持ちの良い散歩で身体を動かせているなとか、新鮮な空気を吸っているのを感じ、朝日が気持ちいい、風が吹いていて気持ちいいなど、「今―ここ」の感覚に注意が向いておらず、いろいろな不安・心配に心が落ち着いていない状態にあることです。マインドフルネスな状態は「今―ここ」に注意を集中できている状態です。その状態に持って行くために、一つの方法として、呼吸に注意を向けてみるという方法があります。研修会で行ったのは、左胸に右手の手の平、左手の手の平をお腹につけながら、3分くらい呼吸に集中してみる方法で、かなり落ち着いた感じになりました。その後で背中に両手の平をまわして当てて同じように呼吸に集中します。短時間にトランスに入れて、良い方法だと思いました。自律訓練法と併せて、お試しになってみてはいかがでしょう。

 痛みや不安はありながらも、如何に生き生きと自分の価値に従って生きるかを探っていくセラピーですね。オフィスのカウンセリングにも、役立ちそうです。写真は慶應大学病院の道を歩いて帰るところ。
 

 

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