臨床心理士 阿部真里子の気まぐれ道草NAVI

所長阿部が折りにふれて感じたこと、考えたことをちょっとした言葉にしてみようと思いつきました。 人生でNAVIが必要だな・・・どうやって生きて行ったらいいの?って思うこともありますが、あんまりがむしゃらに突っ走るばかりでなく、時々ほっと一息ついたり、遠回りになるけれど道草も大事ですよね。道草の途中で、意義深いものや自然に出会ったり、人に出会ったりして、人生が大きく変わることもあるのかも。"カウンセリング"も道草の一つかもしれません。目的地にとらわれない道草的NAVIって面白くありませんか?

第145回(2017.2.26.)「春がそこまで来ています!!」

凍えるような寒い日があると思えば、暖かい日差しを感じる日もありますね。

梅があちこちで咲いているのが見られ、早咲きの桜の開花を知らせるニュースもちらほら聞きます。

 インフルエンザが流行しているので、オフィスの待合室、各面接室には、クレベリンという消毒薬を置き始めました。今回見つけたのは、普通のボトルタイプではなく、クマさんの形をしたものです。ピンク、ブルー、黒の三色あり、ご利用者さまに好評です。

 スクールカウンセラーで行っていた学校の保健室の先生から、これを保健室に置いたら、インフルエンザにかかる生徒の数が激減したというのを聞いて、それから、インフルエンザが流行する冬にはなるべく買って、部屋に置くようにしています。

 

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 ところで、来週、最終回を迎えるテレビドラマにハマり、見ていました。

木曜日夜9時からの「就活家族~きっとうまくいく~」(テレビ朝日)暗い話なのでと当初、視聴率があまり伸びなかったようですが、カウンセラーをやっている身としては、家族に起こりがちないろいろな問題が扱われており、目が離せなくなりました。

 

 父親(三浦友和)は大手鉄鋼メーカーに勤務するエリートサラリーマンで、母親(黒木瞳)は私立中学校の教師。娘(前田敦子)はすでにジュエリーの会社に就職していて、息子(工藤阿須加)は就活中という家族の話です。最初の回では裕福で何の不自由もなく、きれいで、おしゃれな家に住む仲の良い家族像が写しだされます。ところが、役員昇格を目前にしていた父親は新採用やリストラを担当する人事部長で、部下のリストラされた女性から恨みをかい、セクハラ疑惑をかけられ、冤罪で会社を退職せざるをえなくなります。この家族は父親が役員に昇格するからと、新築の家を購入しようとしていましたが、父親の退職にともなってそれも難しくなります。しかし、なかなか家族に退職したことを父親は言い出せず、出勤したふりをして公園にいたり、出張したふりで、東京で京都のお土産を購入したりします。父親は新しい就職先を探しますが、就職活動もままならず、バイトで清掃会社の仕事を始め、自分のもといた会社の清掃に入らなければならず、会社員に見つかって、「ここまで落ちぶれて」などと言われ、激怒します。長女も、職場で上司とうまくいかず会社を辞め、就職活動を再開し、長男は悪徳?就活セミナーに入って、就職活動をし始めますが、それも苦労が多く、なかなかうまくいきません。教師の母親もある出来事から学校を退職しなければならなくなり、就職活動を始めます。そして、家族全員が就職活動をする中で、しだいに、家族関係がぎくしゃくしていきます。父母はお互いの行動への不信から離婚という話も見え隠れする様になり、家族がバラバラになる危機が訪れます。

 概略はあまりネタバレしない程度にざっとこんな感じですが、現実にはこんなに一つの家族に何重にも試練が訪れることはさすがにないかもしれません。しかし、何か一つ、困ったことが起こると、また、次々と困ったことが連鎖反応で生じてくることはあります。「弱り目に祟り目」のように。自信喪失した「体験の仕方」(体験様式)が、失敗を誘発し、また、窮地に陥れるという感じになることは人生でよくあります。そんな時に家族で危機を乗り越えていくことで、家族も家族としての現実対処能力を身につけ、成長していくのかなと思います。

危機の真っただ中で、ストレスが頂点に達し、家族が仲たがいし、言い争うこともありますが、それで、お互いの本音がわかったり、相手の気持ちが垣間見えたりすることもあると思います。「本当は寂しくて悲しかったんだな」とか「つらいけど、無理して頑張っていたんだな」とか。うまくいかないからこそ、相手が普段は口にしない本当の気持ちが見えてくることもあるのかなと思います。そして、そこからが、新たな家族の出発になるのかもしれません。

 

 「きっとうまくいく」というこのドラマの副題はハッピーエンドを暗示していますが、どうなることでしょう。苦しい時に、随所で、三浦友和の扮する父親がこの「きっとうまくいくさ!!」というフレーズを家族に向かって言い放ちます。

 

私の通っている乗馬クラブで9匹馬の描かれた「うまくいくボールペン」が売られていますが、「きっとうまくいく」という自己暗示を唱えつつ、うまくいったときのできるだけリアルなイメージを思い浮かべ、苦しさ、つらさを乗り越え対処していくことが人生では重要なことかもしれません。人生、マニュアル通りにはいかないのが常で、トラブルや障害に見舞われることは日常茶飯事で、その中で、人として、トラブルや障害にどのように対処して乗り越えていけるのか、どのように生きていけるのか、「人生」から人は常に問いかけられているのだと思います。

 当オフィスでは個人だけでなく、ご夫婦の、ご家族のご相談にも応じております。お気軽にお問合せ下さい。

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